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執筆者の写真ぬぬ丸

「ランドセルガール」考察と今後の展開

※「ハツコイ少女」以降のネタバレをしています。未読の方はご注意ください。   




9巻までで、大きく分けて4つの謎が残されている。

腹部の傷」、「ランドセルガール」、「赤木郁美」、「霧島透子」の4つについて、それぞれ掘り下げながら、10巻以降の物語の展開について考えていく。


腹部の傷

・わき腹からへそにかけてある、かさぶたが取れた後のような白い傷。痛みはない。 ・「ランドセルガール」に会ったあと発見。その日の朝は無かった。 ・大学入学時の時点で傷がまだ存在するかしないかの描写はない。


「胸」の三本傷が「同じ心臓が二つ存在するパラドックスの表れ」であったことから、「へそ」というヒントから何か導き出せないか掘り下げてみる。


真っ先に思い浮かぶのは「へその緒」である。かつて、母と子をつないでいた場所。


母親に関係する思春期症候群が咲太を悩ませたし、咲太自身もこの傷について母親関連であると考えているが、そうではない可能性も十分にある。


「胸の三本傷」も元は「妹への想いが傷となって表れた」とミスリードされていたし、今回の「母親」がミスリードであるという可能性も捨てきれない。


また、ランドセルガールに出会った直後に生じていたことから、ランドセルガールに出会ったことで生じた傷、というのはほぼ確定だと考える。

ランドセルガールが完全に消えるとき、この傷が消えるとも解釈できる。


これらのことから、「母親」ではランドセルガールについての説明ができないので、「腹部の傷」が生じた理由は「母親」ではない、と推定できる。


胸の三本傷がそうであったように、腹部の傷」は物語の根幹にかかわる大きな謎であるという線が濃厚であるので、最終巻付近まで明かされない可能性も高い。


ランドセルガール

・容姿は麻衣によく似ているが、仕草はテレビの中で役を演じていた麻衣そのものであり、完全な麻衣の幼少期と一致しない。

・麻衣が来ると消えた。

・咲太をパラレルワールドに連れて行くことのできる存在。

・「ここに来られたのは、おじさんの力だよ。私はできるって教えてあげただけです」

・大学の入学式で再び現れた。


これまでの話の流れから見て、彼女の存在は誰かが起こした思春期症候群によるものということはほぼ確実である。

それが誰の起こした思春期症候群なのか、考えられる3つの可能性について掘り下げていく。


① 桜島麻衣

麻衣と同じ姿をしているわけだから、麻衣が絡んでいるという考え。

しかし麻衣が思春期症候群を起こす理由に当たるものは現時点ではなく、可能性は低い。


② 梓川咲太

今の状況証拠から判断すると、咲太の可能性が一番高い。

ランドセルガールは現時点で咲太しか認識できていないし、咲太をパラレルワールドに連れていく存在である。咲太の描いた思春期症候群であり、その姿が彼にとって都合のいい「麻衣」だという考えにも納得がいく。


③ 霧島透子

しかし意外と、こちらの方が「ありそう」ではある。

第一部でいう翔子的存在、いわゆる第二部締めくくりの「ラスボス」が透子であるのはほぼ確実だ。


ここで、「仕草がテレビの中で役を演じていた麻衣そのものであり、完全な麻衣の幼少期と一致しない」ことについて考える。


想像でしかないが、歌手である透子が小さいころから芸能界にあこがれていたら……。テレビの中の「桜島麻衣」にあこがれていたら……。


当然、麻衣と透子には接点がないから、彼女が思春期症候群を起こすにしたがって、「テレビの中で役を演じていた麻衣」しか知らなかった、という考えは辻褄もあう。


もし麻衣の起こした思春期症候群であるならば、その姿が「テレビの中で役を演じていた麻衣そのもの」である必要はないし、やはり麻衣である可能性は低そうだ。


これらのことから、ランドセルガールの思春期症候群を引き起こしたのは、咲太と透子のどちらかである可能性が高い、といえる。


次にランドセルガールのこの台詞について考えてみる。


「ここ(パラレルワールド)に来られたのは、おじさんの力だよ。私はできるって教えてあげただけです」


ここで「花楓がいじめられて藤沢に引っ越してきた世界」を「A」、「花楓のいじめを救って家族4人で暮らしている世界」を「B」とする。


Aの世界で透明化現象に悩まされた咲太は「逃げたい」と思った。(作中でもそう理央が指摘している)

Bの世界を体験した咲太は「Aに戻りたい」とランドセルガールに告げた。


このことから、咲太の意思でパラレルワールドに行くことができると考えられる。


台詞の解釈としては、ランドセルガールはあくまでパラレルワールドを認識するようにできる存在でしかなく、その世界に行くか行かないかは、咲太の判断によるものだ、というようなところだろうか。


赤城郁美

・濃く深い黒髪で、咲太とは中学三年生のときだけ同じクラスだった目立たない存在。

・Bの世界では峰ヶ原高校に通っていて、放送室占拠事件について詳細を知っている。

・Bの世界では、咲太に恋愛感情を抱いている描写が見られる。

・Aの世界では、大学の入学式で咲太と中学卒業ぶりに再会をする。


これらのことから素直に推測すると、「Bの世界では中学三年生の時に放送室占拠事件で花楓を救った咲太を見て惚れ、そんな咲太を追って同じ高校に入学した」というログラインが見える。


メタ的な視点から見ると、「放送室占拠事件」について詳細が描かれることになると考えられる。そうなると咲太はまたパラレルワールドに行く必要があるのだが……。


詳しくは「今後の話の展開」の項で後述する。


霧島透子

・巷で話題の歌手。

・翔子が経験してきたどの世界線にも存在しなかった少女。


前述したとおり、第二部締めくくりの「ラスボス」的存在であるとみられる。


やはりこれも素直に読んだ、「麻衣が出演した映画のおかげで心臓移植を必要としていた透子も生き延びることができた」というのが妥当な気がする。


今後の物語の展開

「腹部の傷」が「胸の三本傷」同様、第二部の物語の根幹に関わることはほぼ間違いないと考えられる。


「腹部の傷」を説明するにはその発生原因の「ランドセルガール」に触れる必要があり、「ランドセルガール」は「パラレルワールド」の鍵を握っている存在である。

どれか一つを説明しようとすると他の二つの情報を欠くことができないほど、この3つの要素には密接な関連性がある。


このことから、第二部の舞台は「パラレルワールド」である可能性が非常に高い。咲太が世界を行ったり来たりしながら、少女たちを救っていくのだろうか。


そのうえで、10巻のヒロインは郁美であると考えられる。


9巻ではBの世界で二度登場した上に、ラストで咲太と再会した。

「放送室占拠事件」についても謎が残されている。


次巻でランドセルガールが登場することが示唆されていることから、何らかの思春期症候群を起こした赤城を救うために、「放送室占拠事件」の詳細を知る必要が出てきて、そのために咲太はランドセルガールの力を借りてBの世界に再び訪れる、という予測もできる。


11巻以降もランドセルガールに協力してもらいながら世界を行き来し問題を解決していく。

そうした中で第二部ラスト、ランドセルガールの思春期症候群を起こした張本人・霧島透子の謎に迫っていく……。


そんな流れなのかもしれない(違う)。


結論

「腹部の傷」の生じた理由は「母親」ではなく他にある


「腹部の傷」「ランドセルガール」は物語の根幹にかかわる大きな謎である


ランドセルガールの思春期症候群を引き起こしたのは、咲太と透子のどちらかである可能性が高い


咲太の意思でパラレルワールドに行くことができる


Bの世界の郁美は中学三年生の時に放送室占拠事件で花楓を救った咲太を見て惚れ、そんな咲太を追って同じ高校に入学した


麻衣が出演した映画のおかげで心臓移植を必要としていた透子も生き延びることができた


第二部の舞台は「パラレルワールド」である


10巻のヒロインは郁美である

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1 bình luận


ilfa17a
16 thg 3, 2019

はじめまして。考察読ませていただきました。お腹の傷については、確かになるほどな、と思いました。


個人的には、ランドセルガールは赤城だと思ってます。

咲太のことは好きだけど、既に麻衣という彼女がいる。だから、彼女を研究して、完璧に模写できるようになった。子供なのは、子役自体のほうが資料が多かったから。あと、今の麻衣だと、咲太にすぐバレる恐れがあったから。

それが、思春期症候群によって発現された。目的は、完全な妄想なのですが、咲太を麻衣から奪うため。作中では、A世界の咲太は、B世界の麻衣とは会わなかったけど、恐らく会っていたら、麻衣は違う咲太だと気づいていたと思います。咲太が違う世界の咲太だと知ったら、何となく、関係がギクシャクして、最悪別れる可能性もなくはないかな、と思われます。それが、赤城さんの狙いの一つなのかな、と。

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